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30th Anniversary
Blue Notes Orchestra

曲目解説

「On Reflection」
日本を代表するジャズトロンボーン奏者向井滋春の作品。オリジナルのもつ4管のサウンドを保ちつつビッグバンド用に原田励がアレンジ。ゲストソロイストのトランペット・原朋直をフィーチュア、原に触発され、デビッド・キーチ(Tb)、小澤聡(As)、藤森潤一(P)がモダンなソロを聞かせている。原朋直とブルーノーツの交流は原がまだ学生のころに始まり、プロとしてデビュー後も度々共演をしている。

「White Cliff」
スウェーデンのジャズピアニストの第一人者であり、作曲家であるラーシュ・ヤンソンが作・編曲をした美しいバラード。ピアノトリオ、およびボーフスレーンビッグバンドの浜松公演のサポートなど通じて交流が深まり、ラーシュ本人から楽譜の提供を受けた。ブルーノーツはボーフスレーンビッグバンドのテナーサックス奏者、オーべ・インゲマールソンをフィーチュアして2002年に浜松の四ッ池MUSEでこの曲を演奏しているが、ここでは彼を尊敬し、大きく影響を受けた阿部裕康(Ts)が美しくプレイしている。ピアノソロはリリカルなプレイに定評がある小関信也。

「Gone Gone Gone」
ガーシュインの作曲した歌劇「ポーギーとベス」にはサマータイムなどジャズで取り上げられている曲目が多く含まれているが、この曲もそのひとつである。デビッド・キーチ(Tb)、阿部裕康(Ts)、原朋直(Tp)のテンポの速い、一気に燃え上がるホットなソロが展開される。ドラムは20年間ブルーノーツで叩きつづけている日内地貴則。

「Sacred」
再びラーシュ・ヤンソンの美しいバラードを原朋直が情感たっぷりに表現。Sacredとは「神聖な」という意味、祈りにも似た演奏が心を打つ。ここでは藤森潤一(P)の美しいソロを聞くことができる。
「Nutcracker」
日本ではあまり知られていないが、NYのスタジオミュージシャンとして有名なトロンボーン奏者、ウェイン・アンドレの作品。ウェインはコンラッド・ハーウイッグなどとともに80年代前半に4トロンボーンのアンサンブルをフィーチュアしたグループで活動しており、この曲は幸運にも本人からプレゼントされたライブ録音のカセットテープに残されていたが、CD、レコード等では発売はされていないと思われる。編曲はいまや日本のスタジオミュージシャンの重鎮でもあるトロンボーン奏者の鍵和田道男であり、以前は鍵和田自身がフィーチュアされしばしば演奏されていた。今回のソロはデビッド・キーチ(Tb)、平野健次(Tb)、阿部裕康(Ts)、小関信也(P)そして短いソロではあるがエンディングにおいて、中津川悟史、藤下宗一郎、平野健次、遠藤博史の順に音を聞くことができる。

「The City - Part 1, Part 2, Part 3 」
1979年に発表された塩村宰氏の作品、4つのPartから成り立つがここではPart 1 から3までを収録。

Part 1 A Puppy taking the Air (子犬の散歩):都会の夜明けをイメージさせる静かな曲、塩村氏の譜面にはフリューゲルホルンをフィーチュアすることになっているが、このトラックではギターの徳永英彰がメロウなソロを聞かせている。

Part 2 Diviner and Crowds (易者と雑踏)〜Part 3 Scramble (スクランブル):動き始めた都会の鼓動をサキソフォンのユニゾンで表現、モーダル&フリーを得意とする川上尚志(Tb)、エモーショナルな小野沢直行(As)、ここではモダンなエレクトリックピアノを聞かせてくれる小関信也、徳永英彰(G)、阿部裕康(Ts)と多彩なソリストが参加。ベース奥村貴宏によってPart 3のテンポが示され、一転して明るいサンバフィールの曲に変わり、徳永英彰がアコースティックギターで、そして小関信也がエレクトリックピアノで軽快なソロを聞かせた後、エンディングとなる。

「Time For A Change 」
ブルーノーツは1976年のアメリカツアーの際、スタン・ケントン・オーケストラのミュージックキャンプに参加。そのとき、ケントン楽団のコンポーザーとしてバンドに帯同していた、ハンク・レイビーの作品であり、同楽団の「Kenton75」にオリジナルが収録されている。この曲は9拍子であるが、彼は変拍子を意識させない美しい旋律を書く事が得意であり、ブルーノーツは彼の作品の多くをレパートリーとしている。ソロは阿部裕康(Ts)


「Ictus」
カーラ・ブレイの作品。70年代、ギル・エバンスが日本公演において菊池雅文ほか日本の演奏家を中心にオーケストラを組織し、「ハンニバル」マービン・ピータソンをフィーチュアした演奏をイメージ。ここでは結成時からのメンバーである沢田修一とゲスト・原朋直の2人のトランペットをフィーチュア

「Swiss Suite」
すばらしいサキソフォン奏者、作編曲家、バンドリーダーであるオリバー・ネルソンのドラマチックなこの作品が、その個性ゆえか他のバンドによって演奏されている記憶は無いが、ブルーノーツは70年代からジャズフェスティバル等の大きな舞台で度々演奏し、メンバーには思い出深い曲である。当初からこの曲では練木栄治のピアノおよび釼持尚のテナーサキソフォン、沢田修一のトランペットがフィーチュアされており、このトラックでも聞くことができる。プランジャーを使ったトロンボーンソロは川上尚志。


バンドリーダー挨拶

1975年に結成し、本年(2005年)30周年を迎えることになり、この数年間に録音した演奏のなかからブルーノーツとかかわりがあり、一般のビッグバンドではあまり演奏されない曲、メンバーにとって思いで深い曲を収録した。それゆえ、テーマに沿って制作したCDと異なり、ややまとまりには欠けるかもしれないが、気に入った曲、知られざる名プレイヤーを見つけていただければ幸いである。これを機会に本格的CD制作、ツアー等新たな活動ができることを願っている。CD制作にあたり、過去、ともに活動したメンバーにも広く参加していただき、楽しく録音セッションを終えることができたこと、快く、ご参加いただけたトランペット奏者の原さん、ギタリストの徳永さん、2年間ブルーノーツのメンバーとして活動後、今はロンドンに戻り、トロンボーン奏者として活躍しているDavid、バンドの支援者であり、このCDの制作者である四ッ池MUSEの平野さん始め、皆様のご協力により実現できたことを感謝いたします。


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