30th
Anniversary Blue Notes Orchestra |
Jack Bowers
Blue Notes Orchestraは浜松生まれたが、ジャズとしての高い芸術性をマスタ−するのに、アメリカに
生まれ育つ事が必ずしも必要ではない、と証明している日本の傑出したコンテンポラリ−ビッグバンドの
ひとつである。
Blue Notesはどの点においても、私が最近聞いてきたアンサンブル同様、よく熟達しており、
Kenichi Tsunodaの素晴らしい東京のバンドを思い起こさせる。
ただ残念なのは、私がこのオ−ケストラの成熟した芸術性を聞くことができ鑑賞できるようになるまでに、
30年が過ぎ去ってしまったことだ。
この30周年記念盤はHideki Tokunaga氏から受け取った。彼はカリフォルニアで活動する傑出したギタリスト
であり、ここではOsamu Shiomuraの3つの組曲”The City”の中でソロをとっている。
Tokunaga は2人のゲスト奏者の一人であるが、もう一人のゲスト奏者はトランペッタ−のTomonao
Hara
であり、ここでは4曲に参加している。
彼がどう素晴らしいかって?私なら、Tom Harrellのリリシズムと、Carl Saundersのテクニックをあわせたよう
だと言うだろうが、聞いた方々の感じかたにお任せしたい。
彼は、Lars Janssonの美しいバラ−ド"Sacred"では崇高でしかもソウルフルに、しかしCarla Bleyのダイナミックな
"Ictus"では、トランペットのShuichi Sawadaと、やけどしそうな音の一斉攻撃を交わす。
Haraは、Mukaiの"On Reflection"、Porgy & BessのなかからGeorge
Gershwinの"Gone Gone Gone"を烈しい
形にアレンジした曲の中でもシャ−プなソロを織り交ぜている。
その他のソロの中でも、"Gone Gone Gone"、Janssonの"White Cliff"、Wayne Andreの"Nutcracker"、
そして"Time for a Change"でソロをとっているTenor SaxのHiroyasu Abeにも、衝撃を受けた。
"Time for a Change"はパンフレットによれば"Hunk Levy"の作曲編曲とあるが、これはこの素晴らしい
新企画の中の2つのミスのうちのひとつである。(Hankが正しい)
2つ目のミスは、Oliver Nelsonの“Swiss Suite”である。これは大部分がある種のアバンギャルド的な
無駄口から構成されており、演奏者にとってはハッピ−かも知れないが、聴くものには耳が痛くなるだけだ。
しかしよい点もある。このことはついつい見逃してしまいがちなのだが、退屈な音をオ−ケストラがすくっている。
バンド内に日本人ではないプレ−ヤ−がひとりいるが、そのトロンボ−ン奏者のDavid
Keechも際立った
演奏をしている。ここでは"Gone Gone Gone"、"On Reflection"、Tromboneセクションの生き生きとした演奏の
Andreの“Nutcracker”および他のトロンボニストKenji Hirano そしてピアニストのShinya
Kosekiの熱烈なソロ
と共に演奏している。
Kosekiは3人のピアニストのうちの一人であり、ドラマ−のTakanori Hinaiji、ベースのTakahiro
Okumuraらに
よってドライブされるスタ−リズムセクションの一翼をかざっている。
もちろんこれらの名前が重要なのではなく、最も重要なのは音楽であることは言うまでもなく、この部分において、
the Blue Notes Orchestraはチャンピオンとしての能力をもった部隊である。
30周年記念盤は「見逃すのは惜しい」作品といえる。
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